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実は、このネタは昨年の最後に持ってこようと思っていたものの、
諸般の事情やらPCトラブルやらで蔵入りになっていたネタ。

あえて今週、改めて「焼き直し」にて・・・

先月のアタマにちょいと時間ができたので、
例によってドキュメンタリー映画でも観ようかと・・・

しかし「今年」の見納めを何にしようかと思っていたものの、
コレといった作品が目に付かなかったので、
逆に「一番つまらなそうな作品」を観てみたいと思い、
この作品を「今年の見納め作品」に選択。

ということでポレポレ東中野へ先月上旬の某日、
平日の昼間コッソリと出没。


ところがどっこい、
これがまたジワ~っとくる作品で、
いい意味で見事に期待を裏切られた。

それが「ある精肉店のはなし」というドキュメンタリー映画。

2010年に上関原子力発電所に反対し続ける島民たちの
生活を撮った「祝いの島」というドキュメンタリー映画で、
一躍、ドキュメンタリー映画界で有名になった、
纐纈(はなぶさ)あや監督の作品で、
大阪府貝塚市にある「肉の北出」という精肉店をベースに、
2012年3月に閉鎖となった貝塚市立屠畜場の最期の様子を
記録した非常に貴重な作品でもある。



大阪府貝塚市にある、ごく普通の精肉店が舞台。
ただ、この「肉の北出」は自分のところで子牛から
約2年間ほど「肥育」したのち、
近くにある貝塚市立屠畜場で解体処理を自分たちで行い、
その肉を精肉、販売までを一括で行っている、
生産直販という今時、ちょっと珍しい精肉店だ。

まず冒頭ショッキングな映像から始まる。
肥育していた北出精肉店から近所の屠場まで、
住宅街を牛を引いて連れて行き、
北出家が勢ぞろいしている屠場へ到着すると、
これといって牛との別れを惜しむでもなく、
淡々とした様子で体重を計測し事務処理を終えると、
早々にエイッ!と牛の額に「デカいハンマー」で一撃。

たったこの一撃で大きな牛が前足からガクッと崩れ落ちる・・・


生まれてこのかた、
屠場の様子なんて実際に見たことがなかったので、
結構、衝撃的な場面だ。

そこからは北出家の人々が総出で、
素早く手馴れた手つきで、
皮を剥ぎ、腹を開き、内蔵を取り出し、
段取り良く牛をバラバラに解体してゆく。
ちなみに牛の革は牛革となることは知られるが、
実は「和太鼓」の皮ともなる。
お恥ずかしい話、長年日本人でありながら、
そんなことも知らなかった。
そのプロセスもこの映画には記録されていて、
大変興味深い。

そして汗だくになりながら、
淡々と作業を進めていく北出家の人々。

これが一つの命の終わりであり、
失われた牛の命は人の命を繋ぐ「食べ物」となり、
これを食する人々の血となり肉となる。

これこそが「いただきます」の語源だ。


北出家は代々この地で「精肉店」を生業としているが、
その昔、ココは「東」と呼ばれ同和地区だったところで、
往々にして屠場は同和部落の「仕事」という位置づけにあった。

これは江戸時代の士農工商穢多非人(しのうこうしょうえたひにん)
なる階級制度が元で、死んだ牛や馬、豚を扱う者は穢れている。
という差別意識から、
この手の仕事は、もっぱら「部落民の仕事」になっていったという。

また、こういう職業を蔑むような当時の社会的背景もあった。

ほぼ文盲だった父親から代替りした
長男(北出慎司氏=現・店主=画面中央)は若かりし頃、仲間たちと共に、

それまでタブー視されていた部落解放運動を行い、
奨学金制度などを国から勝ち取り、
同和地区で暮らす人たちが自立するキッカケを作り、
あるいは脱け出すことを可能にさせた。

同時に同和問題をオープンにし社会問題化させたことで、
脱・部落民生活、脱・同和差別を達成することにも成功させた。

ただ実際には、こうした問題は今だに存在しているのもまた現実。

そう、この作品は同和部落問題も提起しているのだ。


夏のお盆には江戸時代から続く「東盆おどり」という、
この地域独特の夏祭りが行われ、
おとなも子供も3日3晩、仮装して踊り明かす。
そして先祖の霊を慰める。
最近は騒音問題による規模縮小や、
祭りのキーとなる子供の少子化、
核家族化からくる地域コミュニティの崩壊化、
そもそも「お盆の定義」すら
有名無実化している現在の日本にあって、
この地は今だに昔からの「伝統」を継承している。


それも最近のメディア受けするための「エセ町おこし」だとか、
単なる商業イベントとしての「祭り」という薄っぺらいモノ
とは一線を画した、
地元で地味にそれでいて「熱く」、
改めて家族のつながり、地域とのつながりを再認識する、
「ホンモノの日本の祭り」の姿も記録されている。

本当に長い時間をかけてじっくりと撮影した、
渾身の作品で、いろんな角度からこの作品を観る事ができる。

差別問題とは、家族とは、地域とは、
食の問題、学ぶということとは、
お金を稼ぐということとは、
額に汗して働くということとは、
生きるということとは、
そして命の尊さ、
命は繋がれているものであるということの再認識、
命に感謝するということ、

本当に日本人としてというよりも、
人間として生きること生きていくということを、
淡々とそれでいて真正面からどう向き合うべきなのかを、
今の我々に「やさしく」問いかける作品で、
今、大ヒットしている「永遠の0」も結構だけれども、
こういう作品こそ我々の世代はもとより、
次世代の人たち(特に中学生や高校生)に観てもらいたい、
心の奥底に深く残る珠玉の作品。


上映当初は昼の1回上映だったものの、
今、確認したらいつの間にか1日3回の上映になっていて、
ちょっとビックリ!

というより、この手のドキュメンタリー映画としては、
異例のロングラン上映。

今後は西の方でも上映されるとのこと、
是非ともお勧めの一作。
機会ありましたらご覧いただければと・・・


ということで今週は現在、隠れ大ヒット作品となっている
「ある精肉店のはなし」をご紹介しました。

では、また来週。

ある精肉店のはなし予告編
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